2)荒川における船舶による貨物輪送の現状と構想
荒川を利用する貨物輪送はかつては鉄鋼製品と石油製品がはじけ及びタンカーによって行われていたが、近年では石油製品の輸送が大部分を占め、鉄鋼製品の輸送量は減少している。
石油製品輪逆用のタンカーは月間約300隻が就航し、朝霞市、和光市、板橋区のデポまで月間約10万KLを輸送している。この貨物量を陸上でタンクローリー(1台13トン積載)を使用して輸送すれば、1日約250台程度必要となる。
表5−5 荒川利用船舶による月間輸送量(平成5年の実績)
仕向先 |
輸送量 |
日本石油板橋油槽所(板橋区船渡) ジャパンエナジー朝霞油槽所(朝霞市)
モービル石油北東京油槽所(和光市) |
5万kl 1.5〜2.5万kl
2.0〜2.5万kl |
計 |
8.5万〜10万kl |
仕向先 |
輸送量 |
新日本製鉄・東京製作所(板橋区) |
不定 |
荒川を航行する代表的な貨物船の諸元は下表のとおりで、貨物満載時の喫水は2.5m以下である。したがって、貨物積載状態では橋と水面とのクリアランス以内であるが、空船の場合は船舶の上部構造物が橋桁と接触するおそれがあるため、タンカーはタンクに水を入れて船体を下げて川を下っている。
表5−6 現在荒川を航行中の船舶の緒元
船舶の航行速度は時速6ノット(10?)程度で、荒川における航行に約3時間を要する。したがって、貨物の取りおろし荷役時間を含めると1日1往復しかできない。石油製品の荷役はドルフィンを使用したパイプラインで行われるため、岸壁やクレーンなどの施設が不要であり、河川敷の現状を維持できる。したがって、河川管理者の建設省も貨物輪送を認めていると考えられる。
しかし、コンテナなど石油製品以外の貨物の荷役には岸壁やクレーンあるいは上屋等の施設が必要になることもあって、一般貨物の荒川を利用した輸送は実現していない。
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